スーパーサラリーマン左江内氏 3話 感想

 今回は、左江内氏の娘はね子がアイドルグループのオーディションを受験し、落選するまでを描く回だったな。

 

 今回はいろいろ書きたいことがあるが、ひとまず「アイドルの資格」についてやな。「ルージュパンク」のセンター真中ありさがはね子に向かって言い放った、「アイドルはねぇ!アイドルをやってるのが大好きな子じゃないとできないの!」というこの言葉こそ、今回最大の肝やったな。これは彼女の本心から出た言葉に間違いないが、このことに彼女自身が気付いたのは、恐らくこの日が初めてやったんやろう。真中は自分が母親の言いなりでアイドルをやってると思っていた。スポンサーや監督に笑顔を振りまいたり、必要ない相手には堂々と見下したりなんてのも母親の入れ知恵だった。そうやって母親の言うことを無批判に受け入れてアイドルを続けるのが、母親の幸せに繫がると信じていたからな。三日目の撮影が終わったあと、「つらいなら辞めちゃえば?」という左江内氏の言葉に強く反論したことからも、そういう気持ちが垣間見える。しかし、今回の誘拐事件で初めて自分の意志に気付くわけや。「アイドルをやりたい」という自分の意志にや。同時に、その意志こそアイドルで最も重要なもんだとも感じたんやろう。それで、あまったれた思いでオーディションを受験したはね子に対して、前述のキツい台詞を言い放ったんやな。ここで重要なのは、真中にその「気付き」を与えたのに左江内氏が関与してるということや。左江内氏がこうして彼女を無事救出し、オーディション会場に送ったからこそ、はね子が落選することができたんや。はね子は表面的にはアイドルに憧れているように描かれていたが、本心では恐らく違ったんやろう。左江内氏の「円子を喜ばせるため」という推測や、落選した夜にベッドで見せた笑みからもこの意志が伺える。つまり、左江内氏が真中を救出したのが、結果として家族であるはね子を救うのにも繋がる、ドラマとして非常に調和の取れたストーリーになっているんや。既放送分と比べると格段に構成が練られていたし、現時点では間違いなく今期ドラマでベストに入る良いエピソードやったわ。

 

 最後にちょっとした意見やが、左江内氏は誰とでも本音で語り合える本当に素晴らしい大人やな。真中もわざわざ左江内氏を呼び出すぐらい気に入ってたし、これも一つの能力なんやろな。

東京タラレバ娘 2話 感想

 今回は、倫子の脚本家としての挫折と香の元彼との再会を中心に描く回だったな。

 

 まず倫子についてだが、早坂をADの若いギャルに取られたり、地上波デビュー予定の仕事を若手脚本家に取られたりで、ここんとこは本当に踏んだり蹴ったりやな。倫子はあの若手脚本家に負けている理由として「仕事を頑張っていたために恋愛が疎かになって、良い脚本が書けなくなった」と自己分析していたが、もしそうなら本当に悲劇なことや。今までの頑張りがかえって足引っ張る結果になったんだからな。タラレバ女の彼女が言うことだから多少都合いい後悔をしてるんやろうけど、でも当人が深く傷付いてるのは紛れもない事実や。そんで、その傷心の倫子の元にKEYの登場やな。KEYはズバズバ言う性格ではあるけど、一応相手のことを考え相手にプラスになる発言をすることが多いから、遠回しながらも倫子を慰めていたのはまぁなるほど思えた。だけどあの後いきなり一夜を共にしたのは非常に唐突な気がしてさすがに呆れたわ。倫子はその直前まで彼にマイナスのイメージしか持っておらんかったやんけ。マイナスの印象はプラスに変換可能というドラマの定石はあるが、今回はマイナスのまま寝たのがどうにも理解できない。これだと、KEYが相手の傷心につけ込んだか、倫子が酒の勢いで誰とでも寝る奔放な女であるように見えてしまうんやが。セックスするのがこの二人である必然性、というのが全く分からない。この辺りの疑問点が次週解明されることを祈る。

 

 それから香の元彼との話やな。女子会の中で「香が一番男の理想が高い」みたいな話をしていたが、まぁそうやろ。理想が高い上に都合が良いんだから、男から見たらたまったもんじゃないやろな。しかし、元彼ええやつやな。貧乏なのを理由に愛想尽かして出て行った元カノに対して、「今の俺があるのは君のおかけだ」なんて言葉かけてやるんやからな。夜遅くまで約束の場所で待ってたり、東京タワーのくだりもちゃんと覚えていたりで、未だに香のこと好きなのかなと安易な推測をしてしまうわ。ただ気になったのは、現在の彼女の「またファンの女の子とハグしてたの?」って言葉や。優しいと言うよりただの女たらしであるのを示唆してたとも取れなくはないからな。現に彼女と同棲中のマンションで元カノと寝るなんて大胆なことをしでかしたしな。こっちの恋の進展も気になるところや。

 

カルテット 2話 感想

 今回は、別府の恋に関する心情の変化と、巻の謎が多い過去の一部に焦点を当てた回だったな。

 

 まず大きな変化として、四人の出会いが全然運命ではなかったのがはっきりしたことやな。すずめが裏取引で巻に近付いたのは前回の通りやけど、別府との出会いも必然的なものだったとはな。こうなると残る家森も何か意図がある気がしてしまうわ。で、その別府は巻に片想いしているのを本人に告げたのだけど、これは言い方が悪かったな。「あなたを捨てていなくなった男より、僕の方が」の部分。思い返してみると、巻は前回も「同情」や「思いやり」という言葉に対して懐疑的な姿勢を示してたし、別府のそういう気持ちに気付いたから、急に顔色を変えたんやろな。そう考えると、「捨てられた女舐めんな」っていう感情的な台詞も、巻らしいと言えば巻らしいと言える。そんで巻に振られた別府は、婚約者のいる九條と寝てしまうわけだが、これが倫理的に許されないのは言うまでもないな。このくだりで重要なのは、九條自身がカフェの比喩で言ってたように、いわゆる「都合のいい女」になること、相手にとって都合のいい存在でも嬉しいと思ってくれる女が別府にいた事実なんや。別府はこの関係がいつまでもダラダラ続くと思ってたのに、急に奪われてしまう。つまり人生の三つの坂のひとつ、「まさか」やな。そんなまさかが起きた時に、初めて見えてくるものもあるわけで、それで「結婚しよう」とまで言ったんやろう。まぁ最終的にそれらしい決着は付いてたけど、だからと言って婚約期間中に不貞行為した相手が結婚式で演奏するのはさすがにアカンと思うけどなw

 

 次に巻の過去やけど、これに関してはまだまだ謎が多い。結婚記念日をスマホの暗証番号にしてるのかと思えば、夫の失踪翌日にあんなにはっちゃけて写真に写ってたりもするしな。この謎解きが物語の主流だし、今後徐々に明らかになっていくんやろな。

東京タラレバ娘 1話 感想

 今回は、アラサー三人組の恋愛に対する姿勢や、KEYと三人組の関係性を描く全体の導入に当たる回だったな。

 

 一番可笑しかったのが、なんと言っても三人の過剰な恋愛中心主義やな。初詣のお願いから始まり、2020年の東京オリンピックとか、「第四出動」という造語とか、三人で集まった時の話題は恋愛で終始してたな。しかも三人共彼氏がいない上に、自分から行動を起こすわけでもないから、「たられば」話になるのは当然のことや。そして、KEYの鋭いツッコミを受けて躍起になった倫子もあえなく撃沈。そういう意味で「長年ベンチだったけど、打席に立てばホームランが打てると信じていた」という本人たちの反省は実に的を射てる。しかし、KEYという青年との出会いによって、倫子が現在の恋愛観を見直し、自分から行動に出ようと思ったのは大きな進歩や。八年前に振った男性に自分から告白するなんて、序盤の「第四出動」時の高飛車な倫子じゃ考えられなかったからな。まぁベタな展開だけど彼女の成長を一話の中にきっちり収めてたのは評価できるわ。

 

 まだ1話なので全体的なことは何も言えないがまぁこんなところ。次回も気が向いたら書く予定。

 

スーパーサラリーマン左江内氏 2話 感想

 今回は、左江内氏の家庭での問題と会社での問題を並行して描くことで、彼の人格や行動原理を特徴づける回だったな。

 

 まず家庭での問題、つまりもや夫が指揮者に選ばれた件やな。ここで目を引いたのは、なんと言っても左江内氏の誠実な姿勢と行動力の高さや。体育の授業中にうんていから落ちたもや夫だけど、それを同級生の悪戯であるかのように見せかけた彼自身が一番悪い。しかし、そのもや夫だけの話を聞いて、ハナからいじめっ子が悪いと決め込んだ、担任の先生と円子たちも問題だ。自分の好きな子の言うことだけ信じるってのは、その子のことを考えているようで考えていない形だけの行為だからな。「もや夫には絶対音感がある」とか「もや夫のために3万円の指揮棒を買う」とか言ってたのもその延長線上にあるもんや。それに対して左江内氏は、きちんともや夫を観察して、息子に非があったことに気付き、自分でわざわざ学校まで赴いて、生徒たちみんなの前で土下座するんだから大したもんや。普通の父親だったら、家で注意するとか電話で相手の親に謝るとかその程度のもんだからな。はね子の高校に不審者が侵入した時もそうだったけど、わざわざ子供の学校まで行って正義を働くこの行動力の高さを持っているのは、間違いなく「スーパーマン」の適性がある立派な大人やと思うわ。左江内氏の誠実な姿勢が印象に残った良いエピソードだった。

 

 次に会社での問題、つまりもんじゃ屋の敷地にマンションを建設する計画の話だ。左江内氏は、マンション建設を進めたいもんじゃ屋経営者と自分の上司、もんじゃ屋を立ち退かせて道路拡張工事を進めたい近隣住民、この両者の間で板挟みになるわけや。道路を拡張したい背景には、昔救急車が通れなくておばあさんが亡くなったって悲しい過去があるから、緊急性や公益性を考えると道路を拡張するのが正解なんだろうな。それで左江内氏は近隣住民側につき、もんじゃ屋の経営者夫婦を説得する側に回った。自分の会社の自分の部署の成績を上げることよりも、近隣住民の幸せを重要視したってことやな。しかし、会社からして見れば、左江内氏は仕事を取ってこれなかったグズになるし、近隣住民からして見ても、記憶が消去されているので左江内氏が尽力してくれたなんて知る由もない。つまりこのエピソードは、自分の社会的評価よりも正義・公益性を優先する左江内氏の「スーパーマン」としての姿勢が端的に描かれているわけや。これは原作の左江内氏の根底に流れる思想でもあるし、こういう話をクールの序盤に入れたのは今後のためにも正解だったと思うわ。

 

 そして意外だったのは、この二つの問題が最後まで交錯しないまま終わったことやな。家庭のこと会社のこと、マクロなことミクロなことを並行して描く物語って、どちらかを受けて感じたことをもう片方に適用するって話が多いからな。藤子作品だとエスパー魔美T・Pぼんあたりで顕著やな。まぁ結び付けなきゃいけないなんて決まりはないから、とやかく言うことではないんだけど

スーパーサラリーマン左江内氏 1話 感想

土曜ドラマ『スーパーサラリーマン左江内氏』1話を見たのでごく簡単な感想を。

以下、ネタバレ。

 

 

 

1.尺が長いのではないか

全体的に間延びした印象を受けた。特に池杉のナルシストネタや、解決後の小池さんネタをダラダラとやって時間を稼いでいたのが目に付く。局は変わるが、テレ東金曜24時の40分枠あたりなら丁度良かったのではないかな。ところで、この枠って代々小中学生向け作品を扱ってるイメージがあるが、今の子供たちには先程のようなネタがウケているのだろうか。

 

 

2.登場人物のキャラ改変について

事前情報なして視聴したのだが、思いの外登場人物の性格が改変されてて驚いた。最も主だったのは主人公と妻円子だろう。原作の円子は「無表情」キャラだったから、それと比べると随分鬼嫁化したなぁと思った。また主人公の左江内氏は、原作では温厚な中年紳士として描かれていたが、ドラマでは「責任を負うのが嫌い」で少しひ弱な感じがした。この辺りはまだ1話なので判断できないが、この「責任」という言葉が作品の1つのキーワードなのかもしれない。今後のストーリーにどう絡んでくるのか気になるところだ。

 

 

3.はね子について

何を隠そう俺は数いる藤子作品の女性キャラの中でも指折りに好きなのが、左江内氏の娘はね子だ。ドラマ化を聞いてからはね子のキャスティングばかり気になっていたし、AKBのぱるること島崎遥香に決まった時はその演技力に一抹の不安を覚えた。しかし、今回の放送を見てその不安を見事に払拭してくれた。堤真一小泉今日子などのベテラン俳優に混じっても十分渡り合えるだけの演技力・存在感を示してくれた。これなら来週からも安心して見られそうだ、と感じさせてくれる。個人的に彼女の微妙に猫背な姿勢が、原作のはね子と似た退廃的な雰囲気を醸してて良かった。意識してやっているなら大したものだ。

 

 

 

以上が1話で気になったところ。来週以降も気が向いたら書く予定。

 

駄文失礼。

『ひみつのアッコちゃん』オリジナル版について

 2017年現在、書店で入手可能なひみつのアッコちゃんの単行本の代表格というと、恐らく表題の「『ひみつのアッコちゃん』オリジナル版」全4巻(以下オリジナル版)ではないだろうか。このオリジナル版というのは、2009年に刊行された「完全版」の廉価版(内容は同一)として、2012年に発売されたものだ。ここでその完全版の方の売り文句を引用してみよう。

変身の呪文は「テクマクマヤコン」じゃなかった?
アッコが持つ魔法の鏡は、コンパクトじゃない?
オリジナルマンガのアッコちゃんでは、新しい発見がいっぱいです。
発表当時の原稿にこだわった完全版が単行本で登場!

『ひみつのアッコちゃん』完全版で刊行! | トピックス

赤塚不二夫の代表作「ひみつのアッコちゃん」が、『りぼん』連載時のオリジナル・バージョンでよみがえる。

ひみつのアッコちゃん 完全版 1/赤塚 不二夫 - 紙の本:honto本の通販ストア

とあるように、初出である『りぼん』掲載版と同一の収録であることが大きなセールスポイントになっている。

 ところで「初出」とか「単行本収録の際に修正」みたいな言葉を気にする人って結構多くて、俺もその一人だ。その作品が初めて世に出て人々の目に触れた時の、そのバージョンを読んでみたいってマニア心があるからだ。だから、赤塚漫画の中で指折りに好きなひみつのアッコちゃんが初出で収録されたこの完全版が出た時は、すごく嬉しかったし有難がって読んでいた。

 ところが数年後、その廉価版のオリジナル版が発売される時の売り文句はこうだ。

第1期連載分の全48話に加え、
第2期連載分からはストーリーが重複していない4話を収録した、
まさに初期『アッコちゃん』の完全版です!

最も初出状態に近い単行本、
きんらん社版(全4巻)、曙出版A5版(全6巻)を底本に使用し、
オリジナルに近い『アッコちゃん』を再現しています。

廉価版『ひみつのアッコちゃん』 全4巻が発売中! | トピックス

今回刊行されるオリジナル版は、2009年に河出書房新社より刊行された「完全版」を、手に取りやすい値段にしたもので、「かがみの国のおつかいの巻」「わたしのひみつをおしえるわの巻」「スターになあれ!の巻」「だいじなカガミがなくなった!!の巻」の全4巻。完全版は、改変が加えられる前の原稿が持つ魅力を改めて提示するという編集方針のもと、これまで単行本化されたことのないエピソードをすべて発掘し復刻されていた。

赤塚不二夫「アッコちゃん」原稿改変前のオリジナル版刊行 - コミックナタリー

 これらを一読して分かるように、初出云々の問題に関しては先程と比べて曖昧な表現に変わっている。これが刊行された時点で、うっすらと単行本収録時の修正を疑っていたのだが、先日遂に明らかになった。

 数日前、ひみつのアッコちゃんの掲載雑誌を入手することができたので、オリジナル版と比較してみたのだが、残念ながら修正されていた。

 対象エピソードは『メリークリスマス』『なかなおり』『こんばんはサンタだよ』の3編(初出:「りぼん」1962年12月号ふろく)

 これらは表題が分かれているが、話としては一続きになっているため、1969年に虫プロ商事から単行本が出た時点では『クリスマスのなかなおり』という題で統合されている。

 オリジナル版はきんらん社の単行本(60年代刊行)が底本となっており、初出と同様に3編のまま収録されているが、細かい点で差異を見つけることができた。以下比較として本編より引用する 。

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 最初の2枚が初出の「りぼん」1962年12月号ふろくで、3枚目がオリジナル版1巻192-193ページである。一目見て分かるように初出では見開き4ページ使って描いていた部分を、オリジナル版では2ページに纏められている。特に最初の2ページは単なるコマの切り貼りではなく新たに描き直しているので、これは明らかに「単行本収録の際の修正」と言えるだろう。

 ここ以外にも初出との差異はある。
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 こちらはオリジナル版1巻214ページより引用。

 この最終ページも大きく修正されていることが分かる。最終ページというのは読後感に関わる重要な部分であるため、この修正は看過できない。初出ではアッコは3人と同じ方向を向いていて、円の大きさもそう変わらないため、眺めていて4人の会話を自然にくり抜いたような印象を受ける。一方オリジナル版では、明らかにアッコが強調して描かれているため、3人の会話を受けて感じたアッコの心情が主体になっているように見える。(個人的には前者の方が好きなのだがそこは人の好みの問題なのでまぁいいとしよう)

 

 今回発見した修正箇所はこの2つだけなのだが、オリジナル版全4巻となるとかなりの量が見つかると思う。完全版からオリジナル版に切り替わる際に、売り文句が柔らかい表現に変わったのは、間の期間に同様の考察をした人がいたからだろう。

 ここまでいろいろと述べてしまったが、言いたいのは「『ひみつのアッコちゃん』オリジナル版」はオリジナル版というより準オリジナル版に近いということ。しかし修正箇所というのは(俺が確認したエピソードでは)漫画雑誌によくある欄外記事削除に伴うコマ移動とそのコマの修正に過ぎないため、人によっては「オリジナル版」でも通してくれるかもしれないということです。